11月1日は日本では「紅茶の日」として知られています。本記事では和紅茶の魅力と楽しみ方をご紹介します。紅茶文化の歴史や海外紅茶との違いや和紅茶ならではの味わい、そして創業250年の宝和園の和紅茶の特長までを深掘りします。
11月1日が「紅茶の日」となった由来と歴史

11月1日が「紅茶の日」になった由来は、18世紀のロシアで開かれたお茶会にあります。
江戸時代の船頭・大黒屋光太夫が嵐に遭い命からがらロシアに漂着。以来約10年間の滞在を余儀なくされました。彼は苦難の末にロシア宮廷の茶会に招かれ、1791年11月に女帝エカテリーナ2世にも謁見して紅茶をともに楽しんだとされています。
大黒屋光太夫は「日本人として初めて正式な海外の茶会で紅茶を飲んだ人物」となり、このエピソードにちなみ日本紅茶協会が1983年に11月1日を「紅茶の日」と定めました。
紅茶の種類と「和紅茶」の立ち位置(海外紅茶との違い・製法)
世界の紅茶の種類|ダージリンからキーマンまで

一口に紅茶と言っても、その種類はさまざまです。インドのダージリンやアッサム、スリランカのセイロンティー、中国の祁門紅茶(キーマン)など世界各地で個性的な紅茶が作られています。その中で、日本国内で生産される紅茶が和紅茶(国産紅茶)です。実は和紅茶は、世界の紅茶の中でも 「唯一無二」 といえる特徴を持っています。
茶葉の品種の違い
海外の紅茶は紅茶用に改良されたアッサム種(大葉種)が主流ですが、和紅茶には日本茶用の中国種(やぶきた等の在来種)が使われることが多いのです
日本の代表的な煎茶品種であるやぶきたは甘みと旨みが強く、本来は緑茶向けですが、この葉を発酵させ紅茶に仕立てることで渋みが控えめで優しい味わいの紅茶になります。
製法(発酵)の違い
紅茶は茶葉を発酵させて作りますが、その発酵プロセスにも違いがあります。一般的な海外紅茶が高温・短時間で一気に発酵させて力強い香りと渋みを引き出すのに対し、和紅茶では比較的低温で長時間かけてじっくり発酵させます。
この丁寧な発酵により、紅茶本来の花のような華やかな香りや自然な甘みが引き出されるのです。一方、高温短時間で作られた海外紅茶はタンニン由来の渋みやスパイシーな風味が強く出る傾向があります。
こうした品種と製法の違いから、和紅茶は世界の紅茶の中でも独特のポジションを占めます。大量生産よりも各茶師ごとの工夫が活きたクラフト的な紅茶であり、「和の文化」が香る紅茶と言えるでしょう。
宝和園の和紅茶の特長とこだわり

厳選された有機茶葉
宝和園の和紅茶には、静岡県内の契約茶園で栽培された有機栽培のやぶ北茶が100%使用されています。静岡茶の代表品種のやぶ北の中でも、JAS有機認証を受けた無農薬有機栽培の技術を有し、総理大臣賞・農林水産大臣賞の受賞履歴も茶園で採れた茶葉を使用。有機JAS認証の国産紅茶である点は大きな魅力ではないでしょうか。
熟練茶師の手仕事による仕上げ

宝和園の和紅茶作りで特筆すべきは、その徹底した手作業です。機械任せではなく、すべての工程において熟練の茶師が人の手を加えて仕上げています。「農林水産大臣賞」5回受賞など受賞歴多数の熟練した茶師岡本によるひと味もふた味も違う熟練の技術で和紅茶を仕上げます。
摘み取った茶葉はまず萎凋(いちょう:しおらせる工程)させますが、宝和園では茶師岡本が数時間おきに葉を優しく撹拌しながら、丸一日かけてゆっくりと葉を萎らせていきます。さらに発酵の過程でも絶妙なタイミングで介入し、香り高い紅茶に仕上げていきます。
この一手間も二手間もかける職人技こそが宝和園流のこだわりであり、機械的な大量生産では得られない豊かな香味を生み出す秘訣です。実際、機械任せでは考えられないほど手間ひまをかけることで、贅沢な香りとほどよい渋みを備えた和紅茶が完成します。
ティーバッグへのこだわり

宝和園では茶葉の風味を損なわず手軽に楽しめるよう、ティーバッグの形状にも工夫があります。安全なトウモロコシ由来素材でできた大きめのピラミッド型ティーバッグを採用しており、1パックに贅沢に2gの茶葉を封入。一般的なティーバッグよりひとまわり大きいため、抽出時に茶葉がしっかりと開き、お湯の中で泳ぐことで茶成分が余すところなく出ます。これにより急須で淹れたような本格的な味わいをティーバッグでもお手軽にあじわうことができます。
まとめ|紅茶の日に「和紅茶」を!
11月1日の紅茶の日は、日本人が初めて本格的な茶会に参加した歴史にちなむ記念日でした。その紅茶文化の歩みを経て、現代では日本でも和紅茶という素晴らしいお茶が作られるようになりました。今年の紅茶の日はぜひ、日本生まれの紅茶である和紅茶を選んでみてはいかがでしょうか。

