深蒸し新茶だから旨い。宝和園の水出し冷茶の淹れ方【2026年版】

暑くなってくると飲みたくなる冷たい緑茶。お茶の中で「水出し」に最も向いているのが、掛川の深蒸し茶です。
水出しにすると渋みがほとんど出ず、テアニン(甘み・旨み)だけがやさしく溶け出します。
特に七十七夜前後に摘まれた新茶は、テアニン含有量が年間最高値に達しているため、水出しにした際の甘みが格段に違います。
この記事では、掛川深蒸し茶の水出し冷茶の基本レシピ、美味しくなる科学的な理由、そして夏に向けたアレンジ方法をお伝えします。
農林水産大臣受賞茶師 岡本義明 監修
1. 深蒸し茶が水出しに向いている理由

お茶の「蒸し時間」をご存知でしょうか。
緑茶の製造工程では、摘み取った茶葉を蒸気で加熱します。この蒸し時間が通常の煎茶より2〜3倍長いのが「深蒸し茶」です。
深蒸し製法には2つの特徴があります。
第一に、長く蒸すことで茶葉の細胞壁が柔らかく壊れ、成分が溶け出しやすくなります。第二に、茶葉が細かく砕けやすい状態になるため、表面積が増えて水との接触が増えます。
この2つの特性が、水出しに最適な条件を生み出します。
低温の水でも成分が十分に溶け出し、かつ渋みの原因となるカテキン(高温で溶けやすい)は抑えられるため、甘みだけが際立つ冷茶になります。
浅蒸し茶や玉露でも水出しは作れますが、深蒸し茶のほうが短時間で美味しく仕上がり、失敗しにくいのでおすすめです。
2. 新茶×水出しが最強の組み合わせである理由
新茶(一番茶)はテアニン(甘み・旨み成分)が年間で最も豊富な時期です。
このテアニンは水溶性の高いアミノ酸で、低温の水にもよく溶け出します。一方で苦みの原因になるカテキンは低温水には溶けにくい性質があります。
つまり、新茶を水出しにすることで「甘みだけを取り出す」という理想的な状態が作れます。真夏日でも一口飲んだだけで口の中に広がる、深くやさしい甘みは、新茶の水出しならではの体験です。
ポイント
「渋くて苦手」という方にこそ、新茶の水出し冷茶をおすすめします。
渋みの原因カテキンが出にくいため、お茶が苦手な方でも飲みやすいと感じることが多いです。
3. 基本の水出し冷茶レシピ(1L分)

材料
- 掛川深蒸し茶(新茶):10〜15g(ティースプーン約4〜5杯)
- 水:1L(軟水がおすすめ。日本の水道水で問題なし)
- 容器:ピッチャーまたはボトル(HARIOのフィルターインボトルがおすすめです)
作り方
1.茶葉を容器に入れる
ピッチャーや水出し専用ボトルに茶葉を入れます
2.水を注ぐ
常温または冷水1Lをゆっくり注ぎます(氷水はNG。成分の抽出が遅くなります)
3.冷蔵庫へ
蓋をして冷蔵庫に入れます
4.待つ
最短3時間、理想は一晩(8〜10時間)。時間が長いほど旨みが増します
5.茶葉を取り出す
時間になったら茶こしで茶葉を取り除いて完成
保存期間 冷蔵保存で2日以内に飲み切ってください。作りたてから24時間以内が最も美味しい状態です。
4. もっと美味しくするためのポイント3つ
1.水は「軟水」を選ぶ
日本のお茶は軟水(硬度が低い水)で育てられ、軟水で飲むことを前提に作られています。
硬水(ヨーロッパの水など、硬度が高い水)を使うと、ミネラルとカテキンが反応して苦みや濁りが出ることがあります。日本の水道水は全国的に軟水なので、ミネラルウォーターを買う必要はありません。
2.「一晩冷蔵」が旨みのピーク
水出しは低温でゆっくり成分を抽出するため、時間をかけるほど旨みが増します。
3時間でも飲めますが、8〜10時間(一晩)おくことで、テアニンの甘みがしっかりと出た深みのある冷茶になります。前日の夜に仕込んで、翌朝に飲むのがおすすめです。
3.茶葉の量は「少し多め」が正解
水出しは低温のため、熱湯に比べて成分の抽出効率が下がります。
通常のお湯で淹れるときより茶葉を1.5〜2倍量使うと、旨みが十分に出た濃い目の冷茶になります。1Lに対して10〜15gが宝和園のおすすめ量です。薄めに作ったものを氷で冷やすより、少し濃い目に作ってそのまま飲む方が香りも立ちます。
5. 夏の水出し冷茶アレンジ3選
アレンジ1.水出し冷茶ソーダ
濃い目に作った水出し冷茶(茶葉15g/500ml・一晩抽出)を炭酸水で1:1に割ります。
お茶の甘みと炭酸のすっきりした後味が合わさり、夏の午後に最適なドリンクになります。砂糖は不要です。レモンを少量搾るとさらに爽やかになります。
アレンジ2.水出し冷茶ゼリー(デザート)
水出し冷茶400mlを温め直し(70℃以上)、ゼラチン4g(水で溶かしたもの)と砂糖大さじ1を加えて溶かします。
容器に移して冷蔵庫で固めれば完成。新茶の鮮やかなグリーン色が美しく、来客時のデザートにも喜ばれます。
アレンジ3.水出し冷茶×豆乳(お茶ラテ)
濃い目の水出し冷茶と無調整豆乳を1:1で合わせます。
緑茶のカテキンと大豆イソフラボンの組み合わせは、女性ホルモンに良い影響を与えるという研究報告もあります。甘みが欲しい方は蜂蜜をひとたらし。牛乳より豆乳がお茶の風味を邪魔せずおすすめです。
6. 健康面から見た水出し緑茶のメリット
テアニンが豊富に摂れる
テアニンは脳の興奮を落ち着かせる効果があり(α波の増加)、夏のストレスや睡眠の質改善に役立つとされています。
カフェインが少ない
高温で淹れるとカフェインが多く溶け出しますが、水出しはカフェインの抽出量が少なくなります。
夕方以降でも飲みやすく、カフェインが気になる方にも向いています。
水分補給になる
夏の熱中症予防には水分とミネラルの補給が重要です。
緑茶にはカリウムが含まれており、スポーツ後の補給に適しています。
抗酸化作用
カテキン(EGCG)は水出しでも一定量溶け出します。
紫外線が強い夏に体内で増える活性酸素への対策として役立ちます。
7. まとめ:新茶を冷茶で淹れて夏のはじまりを感じてください
掛川深蒸し茶の水出し冷茶は、作り方はシンプルながら、できあがりは驚いていただけるほど旨みが違います。
特に今年(2026年)の新茶はテアニンが豊富なため、水出しにした際の甘みが例年以上に感じられます。ぜひ一度、七十七夜摘みの新茶で水出し冷茶を試してみてください。
