緑茶に含まれるBCAA・EAAの量は?筋トレやダイエットに充分な量が含まれているのか。

近年注目さている必須アミノ酸であるBCAA・EAAですが、筋トレやダイエットに効果的な量が緑茶に含まれているのでしょうか?この記事ではそんな皆様の疑問に答えてました。

BCAA・EAAとは?

EAA(必須アミノ酸は人間の体内で合成できず、食物などから摂取しなければならない人体に不可欠なアミノ酸のことです。リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、スレオニン、ヒスチジンなどが該当します。

必須アミノ酸の中でも「分岐鎖構造(branched-chain)」をもつアミノ酸のことを(BCAA: 分岐鎖アミノ酸と呼びます。ロイシン、イソロイシン、バリンの3つが該当します。

ロイシン(Leucine):筋肉の合成スイッチを入れるアミノ酸。筋トレや運動後に摂ると、筋肉の修復を促進。

イソロイシン(Isoleucine):筋肉でのエネルギー代謝をサポート。血糖の安定にも関与。

バリン(Valine): 疲労回復を助け、筋肉の分解を防ぐ働き。

煎茶のアミノ酸組成(茶葉中のBCAA・BAA含有量)

濃煎茶

煎茶(緑茶)の茶葉には、たんぱく質由来のアミノ酸が豊富に含まれています。アミノ酸含有量は茶葉の等級によって大きく異なり、最高級の茶葉を使った宝和園のオリジナルブレンド茶、濃煎茶(極上)で100gあたり約3,800mg、お手頃な粉末茶で1,000mgと幅があります。今回はアミノ酸含有量を平均的な茶葉の1,900mgとしました。

茶葉には必須アミノ酸(EAA)を含むほぼ全てのアミノ酸が存在し、特に日本茶の旨み成分であるテアニン(L-テアニン)は遊離アミノ酸の中で最多で、茶葉中のアミノ酸全体の半分以上を占めます。そのほかグルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、セリンなどの非必須アミノ酸も含まれています。

抽出した煎茶の一杯あたりのアミノ酸量

煎茶の茶葉100g中の必須アミノ酸(EAA)の含有量

アミノ酸名 区分茶葉100g中含有量(mg)茶葉3g中含有量(mg)*
ロイシン必須アミノ酸・BCAA1700 mg約51 mg
バリン必須アミノ酸・BCAA1200 mg約36 mg
イソロイシン必須アミノ酸・BCAA940 mg約28 mg
リジン(リシン)必須アミノ酸1400 mg約42 mg
フェニルアラニン必須アミノ酸1100 mg約33 mg
トレオニン(スレオニン)必須アミノ酸990 mg約30 mg
メチオニン必須アミノ酸460 mg約14 mg
トリプトファン必須アミノ酸400 mg約12 mg
ヒスチジン必須アミノ酸580 mg約17 mg

参照 日本食品標準成分表2023

緑茶に含まれるEAAやBCAAは少ない

一般的な煎茶の淹れ方(茶葉3gを約120mLの熱湯で1分程度浸出)では、1杯あたり数十mg程度のアミノ酸が抽出されます。研究によれば、緑茶の浸出液中に溶け出す遊離アミノ酸は2分抽出で約210 mg/L程度と報告されています。これは湯のみ1杯(120 mL)に換算すると総量でおよそ25 mg前後の遊離アミノ酸が摂取できる計算です。

溶け出すアミノ酸の成分は、旨み成分であるテアニンは1杯あたり約5~8 mgと測定されておりその他のアミノ酸もグルタミン酸やアルギニンなど水に溶けやすいものが中心です。

一方、ロイシン・バリン・イソロイシンといったBCAAは疎水性(油に溶けやすく水に溶けにくい)のアミノ酸であるため抽出率が低く、お茶1杯中の含有量はごく微量(各1 mg未満程度)に留まると推定されます。

例えば上記の茶葉3g中にはロイシンが約51 mg含まれますが、その大部分はお湯に溶け出さず茶殻中に残ってしまいます。またリジンなど塩基性の必須アミノ酸も、遊離型として茶葉に含まれる分以外はほとんど抽出されません。日本食品成分表でも煎茶の浸出液100g中のたんぱく質は0.2 g程度(わずか0.2%)で、各アミノ酸の個別量は測定できないほど微量です。

EAAが少ない緑茶は筋トレやダイエットには必要ない飲み物なのか?

煎茶の茶葉には必須アミノ酸(EAA)もしっかり含まれていますが、飲用1杯から摂取できる量はテアニンなど一部を除きごく僅かです。筋肉づくり等の目的でEAAやBCAAを摂取したい場合、煎茶1杯で得られるBCAAはせいぜい1mg未満と微量なので、食事からの摂取が必要でしょう。

一方でBCAAやEAAは、バランスの良い食事を心がけていれば普段の食事から十分に摂取することが可能ですので、本末転倒ですがわざわざ緑茶から摂取しようとする必要はあまりありません。

ではEAAが少ない緑茶は筋トレやダイエットには必要ない飲み物なのでしょうか?

それは全く違います。

カテキンの健康成分であるEGCG(エピガロカテキンガレード)は運動による活性酸素を除去し、抗炎症作用によって筋肉損傷を軽減し回復を早める効果があるとされており、筋肉づくりにはとても有用です。

また、緑茶カテキンには運動時の脂肪の燃焼を助け、エネルギー消費を増加させることが分かっていますのでダイエットのサポートにも最適です。そのほかにもテアニンによるリラックス効果やお茶そのものの旨みといったメリットが期待できます。

まとめ

BCAAは「筋肉の材料+回復サポート」の両面で働くため、運動初心者やダイエッターにも大切な栄養素です。緑茶に含まれるBCAAはごくわずかですのでBCAA目当てに緑茶を飲むのはお勧めできませんが、緑茶カテキンは脂肪の燃焼を助けたり、筋肉の回復を促したりする効果があります。また、テアニンにはリラックス効果がありますので、筋トレやダイエットに緑茶を取り入れるのは間違いの無い選択だと言えるでしょう。

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