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掛川茶の特徴とは?産地・味・品種・農法を江戸時代創業の老舗茶問屋が徹底解説

掛川茶 2026.05.15.

掛川茶(かけがわちゃ)とは、静岡県掛川市およびその周辺で生産される緑茶の総称です。

静岡茶の中でも特に品質が高い産地として知られ、「日本一の深蒸し茶の産地」として業界内外から高い評価を受けています。江戸時代には掛川城主が徳川家康に献上したという記録も残る、歴史ある銘茶産地です。

掛川という産地の地理的・気候的特徴

掛川茶の品質を語る上で欠かせないのが、「掛川という土地そのもの」の特性です。

① 温暖多雨な気候

掛川市は静岡県の中西部に位置し、太平洋から吹き込む温暖な黒潮の影響を強く受ける地域です。

年間を通じて温暖で、年間降水量は日本でも有数の多さを誇ります。お茶の木は「雨と温暖な気候を好む植物」であり、この環境が茶葉を豊かに育てます。

② 年間日照時間の長さ

掛川市は静岡県内でも特に日照時間が長い地域です。

十分な日光を浴びることで茶葉が肉厚に育ち、旨みの成分であるテアニンやカテキンが豊富に蓄積されます。この「肉厚で渋みが強い茶葉」こそが、後述する深蒸し製法が生まれた理由でもあります。

③ 茶栽培に適した丘陵地帯

掛川市内の茶園は丘陵地帯に広がっており、水はけの良い土壌と朝霧が発生しやすい地形が茶の栽培に最適な環境をつくりだしています。

この地形によって生まれる昼夜の温度差も、茶葉の旨みと香りの形成に貢献しています。

掛川茶の最大の特徴 ─ 深蒸し製法発祥の地

カテキン含有量の高い掛川深蒸し茶

掛川茶の最もよく知られた特徴は、「深蒸し製法(ふかむしせいほう)」の発祥の地であることです。

明治時代、牧之原台地周辺で育つ肉厚で渋みが強い茶葉を美味しく飲むために考案されたのが深蒸し製法です。通常の煎茶の2〜3倍の時間をかけて蒸すことで、渋みを抑えてまろやかな旨みを引き出します。宝和園でも1960年頃からいち早くこの製法を導入しました。

深蒸し製法の詳細(仕組み・健康効果・普通煎茶との違い)は、別記事「深蒸し茶とは?」をご覧ください。

掛川茶の味わいの特徴

新茶の淹れかた

深蒸し製法によって生まれる掛川茶の味わいには、他の産地の緑茶と明確に異なる特徴があります。

  • ① 濃厚でコク深い旨み:深蒸し製法で茶葉の細胞が壊れ、旨み成分(テアニン・グルタミン酸)が効率よく溶け出します。一口飲むと、ずっしりとした旨みのコクが口の中に広がります。
  • ② 渋みが少なくまろやか:長時間蒸すことで渋みの主成分であるカテキンの過剰な溶出が抑えられ、まろやかな飲み口になります。緑茶が苦手な方でも飲みやすいのはこのためです。
  • ③ 鮮やかな濃緑色の水色(すいしょく):茶葉が細かな粉末状になるため、お湯に浮遊した微細な粒子が濃い緑色を生み出します。透明感がなく「濁った」ように見えることもありますが、これは栄養成分が豊富に溶け出しているサインです。
  • ④ 香りが穏やかで飽きのこない風味:強い青草臭がなく、ほんのりとした甘みのある香りが特徴です。毎日飲んでも飽きない、日常茶として最適な飲みやすさがあります。

世界農業遺産「茶草場農法」─ 掛川茶品質の土台

掛川茶の品質を根本から支えているのが、2013年にFAO(国連食糧農業機関)の世界農業遺産(GIAHS)に認定された「茶草場農法(ちゃぐさばのうほう)」です。

茶草場農法とは?

茶草場農法とは、茶畑の周辺にある「茶草場」と呼ばれる草地の草(主にススキや笹など)を秋から冬にかけて刈り取り、乾燥させた後に茶畑の通路に敷き込む農法です。

茶草場農法の効果具体的な内容
土壌改良草が分解されることで有機物が補充され、土の保水力・通気性が向上する
保温効果冬の霜から茶の木の根を守り、凍害を防ぐ
雑草抑制草を敷くことで雑草の発生を自然に抑制する
生物多様性の保全草地に多様な動植物が生息し、生態系のバランスを保つ
品質向上有機物による自然な施肥で、お茶本来の旨みや香りが豊かになる

農薬や化学肥料に頼らない、自然の循環を活かしたこの農法は、茶の品質向上と環境保全を両立しています。掛川・菊川・御前崎の農家が今も継承しているこの伝統農法が、掛川茶の深い味わいの土台をつくっています。

掛川茶の主要品種の特徴

掛川茶には複数の品種が栽培されており、それぞれに異なる個性があります。

品種名特徴
やぶきた日本の茶園の約70%を占める代表品種。バランスの取れた旨み・渋み・香り。掛川茶のベースとなる品種
ゆたかみどりカテキン含有量が多く、色が濃く鮮やか。健康効果を重視する方に人気
朝露(あさつゆ)「天然の玉露」と呼ばれる希少品種。通常栽培で玉露に近い旨みが出る。宝和園の日坂御林地区産が特に有名
さえみどり甘みが強く渋みが少ない。香りが上品で水色が鮮やか
ふくみどり旨みが強く香りが豊か。主に掛川市内の高標高地で栽培

宝和園が栽培する日坂御林(おはやし)地区の朝露は、標高の高い山間地で育つ希少な品種です。

霧深い環境がうまみ成分を豊富に蓄積させ、玉露のような甘みとコクを生み出します。生産量が非常に少なく「幻のお茶」とも呼ばれています。

掛川茶と健康 ─ 注目される掛川市のデータ

掛川茶の特徴として広く知られているのが、掛川市のがん死亡率の低さです。

静岡県立大学などの研究によると、掛川市はがんによる年齢調整死亡率が全国的に低い地域の一つとして知られています。掛川市民が日常的に深蒸し茶を多量に飲む習慣があることと、茶葉に含まれる抗酸化成分(カテキン・EGCG)との相関が注目されています。

深蒸し茶のカテキン(EGCG)による免疫向上・抗酸化作用・生活習慣病予防については、別記事「日本茶・掛川深蒸し茶の効能」で詳しく解説しています。

他の静岡茶・日本茶と掛川茶の違い

比較項目掛川茶 vs 他の産地
製法の特徴深蒸し製法の発祥地。他産地より蒸し時間が長く、まろやかな味わいが特徴
味わいの違い宇治茶は甘み重視・高級感。静岡茶の中でも掛川茶は特にコクとまろやかさが際立つ
水色の違い掛川深蒸し茶は濁りのある濃い緑色。宇治茶・牧之原浅蒸し茶は透明感のある黄緑色
農法の特徴世界農業遺産「茶草場農法」を継承。環境に配慮した伝統農法
健康データ産地(掛川市)のがん死亡率の低さがデータとして注目されている

宝和園の掛川茶の特徴 ─ 老舗ならではのこだわり

江戸時代(1825年)創業の宝和園は、掛川市内で200年近くにわたって茶業を営んできた老舗茶問屋です。

  • ① 農林水産大臣賞受賞の茶師が仕立てる:8代目茶師・岡本義明は農林水産大臣賞をはじめとする多数の入賞歴を持つ公認茶審査技術師。茶葉の見た目ではなく「香味」を最優先に仕立てます。
  • ② 農薬・肥料管理への徹底したこだわり:使用する農薬・肥料の種類・量を記録・管理し、安全なお茶づくりを続けています。お茶は毎日飲むものだからこそ、安心・安全を最優先に考えています。
  • ③ 掛川市内の茶農家との長年のパートナーシップ:地元農家と長年の信頼関係を築き、良質な茶葉を安定的に確保しています。日坂御林地区産の希少な「朝露(あさつゆ)」も、この関係の中で実現した宝和園ならではの商品です。
  • ④ 1960年代からの深蒸し製法の先駆者:静岡県内でも早い段階から深蒸し製法を導入し、掛川深蒸し茶の品質向上に貢献してきました。深蒸し茶ならではの濃厚な旨みを知り尽くした、本場のお茶をお届けします。

まとめ

掛川茶の特徴を整理すると、以下の5点に集約されます。

  • 産地の特徴:静岡県掛川市の温暖多雨・長日照・丘陵地帯という茶栽培に理想的な環境
  • 製法の特徴:深蒸し製法発祥の地。まろやかで濃厚な味わいが生まれる
  • 農法の特徴:世界農業遺産「茶草場農法」が品質と環境保全を両立
  • 品種の特徴:やぶきた・ゆたかみどり・朝露など個性豊かな品種
  • 健康の特徴:産地のがん死亡率の低さが全国的に注目されるデータを持つ

これらの特徴が重なり合うことで、「掛川茶」はただの静岡茶ではなく、品質・健康・農業文化すべてにおいて日本屈指の銘茶産地となっています。

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